粉塵や蒸気・ガスなどの有害物質をフードから吸い込み、屋外へ排出させる排気装置。有害物質が発生する場所では欠かせない装置です。ここでは、排気装置の基礎知識をまとめています。
局所排気装置には、1年に一度の点検が義務付けられています。労働安全衛生法で義務付けられており、遵守できない場合には罰金が科せられるケースもあります。点検を行うのに法律上資格は求められていないものの、正しく点検・メンテナンスを実施するには一定の知識と技術が必要です。メーカーによっては点検・メンテナンスサービスを行っている会社もあるので、相談してみることをおすすめします。
排気装置と換気扇は、どちらにも室内の汚染された空気を排出する役割があります。換気扇が部屋の空気を入れ替えるのに対して、排気装置は排出することが主な役割です。粉塵やガスなど有害物質が発生する工場や作業場では、排気装置の設置が義務付けられています。換気扇と排気装置、どちらを設置すればよいか分からないときは、業者に相談するとよいでしょう。
ピンポイントに有害物質を排出する「局所排気装置」を設置するときは、作業環境や発生源を考慮したうえで、適した装置を選ばなければなりません。地域の条例で排気方法が定められているケースもあるので、事前に確認が必要です。また、設置する際には、労働基準監督署に届け出を提出する必要があります。
排気装置に取り付けるフードは、さまざまな種類があります。囲い式フードは、有害物質の発生源を囲い込むように取り付けるフードです。カバー式を始め、複数の種類があります。外付け式は、有害物質と周辺の空気をまとめて吸引するフードです。囲い式フードと比較して風量が求められます。そしてレシーバー式は、気流に沿って有害物質を吸い込むフードです。空気よりも比重が軽い有害物質の吸引に適しています。
塗装を行った際の発生する有害臭。さまざまな有害物質を含んでおり、直接嗅いではいけない薬品も中にはあります。作業員の吸引を防ぐためには、作業ブースの設置が必要不可欠です。排気装置を導入するのはもちろん、強制換気・陽圧も行いましょう。また、塗装ブースは広さにも注意し、有害物質が飛散しないようにする必要があります。
塗装の時に出る有害臭は排気装置で解決できる?
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有機溶剤は揮発性が高く、他の物質を溶かす性質がある薬品です。排気装置の設置が義務づけられており、多数の薬品が規制対象になっています。特に有機溶剤は中毒症状が危険で、万が一吸い込んでしまうとめまいや頭痛、吐き気などの症状が起こるリスクも。健康への影響が大きいため、作業員が吸引しないよう対策が求められます。
排気装置の設置が義務づけられている有機溶剤とは?
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排気装置の運用にあたっては、トラブルに注意が必要です。フィルターの目詰まりによる排気力の低下、工場外への悪臭や異臭などのトラブルを起こすことがあります。トラブルを予防する基本の対策は、適切かつ定期的なメンテナンスの実施です。メンテナンスの依頼先は、実績や信用などをチェックして慎重に選ばなければなりません。
空気中の粉塵などを吸引する機器を集塵機、床に落ちているゴミを吸引する機器を掃除機といいます。目的が異なるため、両者は特徴も異なります。例えば、風量は集塵機、吸引力は掃除機のほうが優れているといえるでしょう。また、容量は基本的に集塵機のほうが大きくなります。違いを理解したうえで、使用環境などにあわせて選ぶことが重要です。
制御風速は、有害物を飛散させないため局所排気装置に求められる風の速さです。具体的な数値は、有機溶剤中毒予防規則などに定められており、有害物の種類や排気装置のフード形状などで異なります。したがって、同じ有害物であっても制御風速は異なることがあります。作業員を有害物から守るため、詳細を理解しておかなければなりません。
局所排気装置の抑制濃度とは、作業者のばく露濃度を安全水準に保てるとして定められた濃度です。抑制濃度の測定は対象物の発生源付近と、発生源から0.5~1m離れた位置で行われ、採取した対象物を分析します※。事業者が特定化学物質などを取り扱う場合、作業者の安全を守るためにも抑制濃度を把握しておく必要があります。
※参照元:尾北環境分析株式会社_【局所排気装置】抑制濃度について(https://www.bkb.co.jp/topics/suppression-concentration-test-flow/)
局所排気装置を設置するときには届出が義務付けられています。届出に記載する内容は、図面・適用書・計算書・設置届など、漏れのないように記載しなければなりません。提出期限もあるので、提出を忘れないように注意しましょう。局所排気装置の届出は排気装置の設置業者に依頼することもできるので、相談する方法もあります。
局所排気装置がないことで、重大な事故が起きるケースがあります。実際に、作業者が意識を失って倒れてしまったり、過敏性肺炎と診断されたり、肝機能障害を発症してしまったりといった事故が報告されています。ここでは、局所排気装置がないことで起きた事故事例をまとめていますので、事故を防ぐための参考にしてみてください。
局所排気装置にフランジは必要な場合もあります。吸引力が弱い場合、フランジ効果を狙って付けるのが理由です。たとえば、フード開口面の周囲にフランジを取り付けたとします。そうすると、前面からの吸込量が増えるのです。
また、フランジ付きフードが床や壁、カーテン、テーブルなどに接していれば、その方向からの気流をストップできます。そのため、吸込量が増えるのです。局所排気装置の吸引力が弱いと、簡易的な対策として検討してもいいでしょう。
排気装置の点検に、資格は不要です。ただし、局所排気装置等定期自主検査者研修コースの修了が求められます。局所排気装置やプッシュプル型換気装置及び除じん装置等では、1年以内ごとに1回、自主検査が法令で義務付けられているのです。
検査をするのも、正常な状態を理解し、問題があれば対策をしなければなりません。そのため検査担当者には必要な知識や技術が必要です。その知識や技術を学ぶのが、局所排気装置等定期自主検査者研修です。ただ、受講要件も設定されています。
局所排気装置と安全キャビネットは、保護対象といった目的や気流も違います。リスクを封じ込むための装置という点では同じです。局所排気装置は、有毒ガスを屋外に排出して、作業者や室内循環の保護を目的としています。
安全キャビネットは、ライフサイエンス分野で使われる装置です。作業者を、バクテリアやウイルスといった病原体や細菌などから守ります。局所排気装置は室内の空気をダクトから屋外に排出し、安全キャビネットは、HEPAフィルターを通って、室内に循環排気、または屋外に排気します。
排気装置の設置をする際、「なるべく早く施工を終わらせて、作業環境を整えたい」と考える人が多いでしょう。その希望を実現するためには、あらかじめ設置までの流れを把握しておくのが重要です。
特に問い合わせ時には作業箇所や作業内容などについて詳しくヒアリングされることが多いため、事前に集めておきたい情報なども紹介しています。
空気清浄機には、空気中の汚れやほこりを除去するなどの役割があります。一方で、局所排気装置には汚れやほこりを除去するだけでなく、より微細な有害物質まで排出可能です。では、空気清浄機は局所排気装置の代わりにはならないのでしょうか。
以下のページでは、空気清浄機と局所排気装置の違いなどについてまとめています。
職場に排気装置を設置する場合、空気の対策が欠かせない企業は補助金制度の利用が可能です。補助金制度には補助金と助成金の2種類があり、それぞれ特徴やメリット・デメリットが異なります。また、いくら補助金制度を利用したいからといって、そもそも排気装置の設置に対する補助を行っていなければ申し込みすらできません。そのため、適宜申込可能な制度があるかを確認するのも重要です。
排気装置を設置するときに使える補助金や助成金はある?
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排気口は、空気清浄機などとともに排気装置を構成する要素のひとつです。主な役割は、空気清浄機によって浄化された空気を施設内から屋外へ排出することです。設置にあたっては、いくつかのルールが設けられています。ここでは、排気装置における排気口の役割や排気装置を設置するときに守らなければならないルールなどを解説しています。
排気装置はダクト・フード・空気清浄装置・ファンなどで構成されます。ダクトの主な役割は、吸引した有害物質を含む空気を排気口へ送ることです。設置にあたっては、できるだけ距離を短くすることやベントを減らすことなどが求められます。ここでは、排気装置におけるダクトの役割とダクトの設置にあたり気を付けたいポイントを解説しています。
環境基本法に基づき、地域の類型に応じた騒音の環境基準が定められています。例えばAA地域における基準値は昼間50デシベル以下、夜間40デシベル以下です。排気装置の設置にあたり騒音に注意しなければなりません。騒音はサイレンサーや防音材の設置で対処できる可能性があります。騒音の環境基準と排気装置の騒音対策について詳しく解説します。
空気清浄装置は排気装置を構成するパーツです。主な役割は、フードから取り込んだ空気を排出する前に清浄化することといえるでしょう。空気清浄装置は、気中の有害物質が主に粉塵のときに用いられる除塵装置と、ガスのときに用いられる除ガス装置に分かれます。ここでは空気清浄装置の概要、種類などを解説しています。
排気装置の空気清浄装置(除塵・除ガス装置)
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排風機は排気装置の動力源です。圧力差を生み出して、フードから空気を吸い込み、排気口から空気を排出します。空気がダクトを通過するときに生じる圧力損失を補うために必要です。排風機は空気の流れにより軸流式と遠心式に分かれます。ここでは、排風機の役割と排風機の設置時に注意したいポイントを解説しています。
局所排気装置は作業者が有害物質を吸い込まないように発散箇所で有害物質を吸引する装置、全体換気装置は清浄な空気と汚染された空気を混合させて希釈する装置です。全体換気装置は、有害物質を完全に取り除くわけではありません。ここでは両者の違いと選択のポイントを解説しています。
排気装置は、作業で発生したさまざまな物質を吸い込みます。粉じん障害防止総合対策においても有効で、発生した粉じんを作業者が吸い込む前に排気装置が吸い込むことで、作業者の健康を守る役割も果たしてくれます。粉じん障害防止総合対策のためにも、設置するべき排気装置の種類や位置、大きさなどを見直してみるとよいでしょう。
粉じん障害防止総合対策における排気装置の役割とは?
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排気装置は、深刻な環境問題の一因となっているVOC排出の削減にも役立ちます。適した排気装置を選択することがポイントです。排気装置の役割をチェックし、地球のために、そして人々の健康のために、VOC排出削減に積極的に取り組みましょう。
プッシュプル排気装置は、発生させた気流によって有害物質の発散源から発散するヒュームを捕捉して、吸い込み側のフードに取り込んで排出するという仕組みです。動画撮影機能により、作業を記録したトラブルの原因究明に役立ったりするため、今導入を検討する企業が増えています。どのようなプッシュプル排気装置が適しているかは、業者に相談して決めるとよいでしょう。
石綿飛散防止対策において、隔離された作業場内の空気が交換して石綿濃度を低減させる、作業場内を常に負圧に保つことで、汚染された空気を外に逃がさない、といった主に2つの役割を果たしてくれるのが、排気装置です。さまざまな種類がある排気装置の中から、石綿飛散防止対策に適合する排気装置を設置しましょう。どんな排気装置を設置するべきかわからないときは、業者に相談することをおすすめします。
局所排気装置の設置は、有機溶剤業務において必要不可欠です。しかし例外となる規定があるため、業務内容によっては設置をしなくても良いケースがあります。どのような場合に適用除外となるのか、そして適用除外になる範囲はどこまでなのか、詳しく見ていきましょう。
排気装置の展示会では、装置を製造・販売している会社の担当者から直接話が聞けるため、どんな点が装置の特徴なのか、どんなシーンでの利用に適しているのかなどが確認できます。パンフレットやカタログよりも、実物を見ることでより設置のイメージがわきやすいでしょう。排気装置の導入・設置で悩んでいる際は、ぜひ一度展示会に参加してみてください。
マイクロバブルを活用した排気装置は、マイクロバブルによって臭気の元となる物質が分解されるため、臭いや物質を直接外に出すことなく空気をきれいにできます。有機系溶剤やパテといった粉じんの捕集、塗料ミストの清浄化にもマイクロバブル排気装置が役立てられており、フィルターなどを取り付けないため排気装置の維持管理がスムーズです。
排気装置のフィルターは、排気装置に取り付けて空気をきれいにする役割があります。自然発火を防止する難燃性のものや「塗料適応」など、塗料ミストの清浄化に役立つ機能を搭載したフィルターも販売されています。すべてのフィルターが同じ性能ではないため、設置場所や排気装置の目的に適合するフィルターを選び、取り付けることが大切です。
排気装置の設置場所は、周辺環境や通行人に影響せず通風性が確保できるような場所を選ぶ必要があります。装置の設置場所は屋内外を問わず、影響を最小限にできる場所を検討しましょう。設置工事の前には役所への届け出が必要で、図面なども必要になります。迷わずに設置工事を終えたい場合は、専門の業者への相談も検討してみてください。
排気装置における排気量の計算では、フードが外付け式または囲い式のどちらになるかで計算式が変わります。外付け式では開口面から発散源までの距離が短いほど効率的になり、囲い式は開口面積が小さくなるほどフードを効率的に使えるようになります。手順を計算する前に発散源やフードの型式を決め、設置に適した位置を決めましょう。
ミストコレクターとは、オイルミストと呼ばれる潤滑油の粒子を捕集する装置です。空気中のオイルミストは室内外のあらゆるものに付着し、直接吸い込むことで呼吸器系への悪影響も考えられるため、健康被害を防ぐ意味でもミストコレクターが活躍しています。電気式・慣性衝突式・渦流分離式の3タイプから設置環境に適した装置を選びましょう。
燃焼式排気装置(RTO)は蓄熱式脱臭装置とも呼ばれ、排気処理装置の一種です。環境法によって排出規制の対象となっている揮発性有機化合物(VOC)を効果的に処理できる装置ですが、有機シリコンやタールのような高沸点化合物などは触媒機能を低下させるおそれがあり、窒素を含む物質は臭気を発生させるため、燃焼する物質によっては注意が必要です。
燃焼式排気装置(RTO)のメリット・注意点
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移動式の排気装置は、排気装置としての機能はそのままに持ち運びのしやすさを考慮し、軽量でポータブルなもの、キャスター付きのものなどが挙げられます。固定式ではないため、作業場が変わる場合やスペースが限られているような場合にも対応可能です。作業者自身で持ち運べるものもありますので、業務に適したスペックの装置を選びましょう。
排気装置のスクラバーとは、工場施設や設備から排出された排ガスを処理する装置の名称です。サイズの他に「湿式」と「乾式」の2種類があり、乾式の場合は悪臭や排ガスの成分を専用の吸着剤で吸着しながら除去します。効率的に空気をきれいにするには、取り除きたい排ガスの成分や特徴に合わせてスクラバーを選ぶことが大切です。
排気装置は、直接購入するだけではなくレンタルも可能です。必要な装置を必要な期間だけ借りられるため、メンテナンスを申し込む手間がかからず、固定資産税がかからないため企業にとってはコストダウンに効果を発揮します。機種のサイズ・スペック・強み・使い勝手といった点で自由に選べる点もメリットといえるでしょう。
局所排気装置は、有害物質を含む空気をろ過する排気装置です。一方、ろ過した空気を作業台の上に吹き付ける装置は「クリーンベンチ」と呼ばれています。クリーンベンチにはコンパクトな卓上型や両側から作業できる両面型などがあり、クリーンベンチに似た製品として排気機能が搭載されたドラフトチャンバー・安全キャビネットなどもあります。
排気装置に取り付けるフィルターの中でも、活性炭のもつ特性を活かした活性炭フィルターは、高い吸着効果が期待できます。界面活性剤・臭気物質・揮発性の有機化合物などを吸着できるので、食品工場からオフィスまで、さまざまな場所で活用されています。フィルターの設置のみであれば、大規模工事の必要なく臭気対策が行なえます。
排気装置に搭載する風量制御システムは、CAV方式とVAV方式の2種類があります。一定の送風量を常に確保したい場合には、定風量制御装置と呼ばれるCAV方式を選ぶことができ、省エネ効果を得たい環境では可変風量方式と呼ばれるVAV方式が選べます。クリーンな作業環境を維持するために、設置場所に適した方式を選びましょう。
局所排気装置は有害な物質を含んだ空気を吸い込んで清浄化し、屋外に排出する設備が搭載されています。一方、発散防止抑制装置は排気を行う設備をもたないもので、局所排気装置よりも対応可能な物質が限られています。一定の要件を満たせば低コストで導入できるので、局所排気装置が設置できない場合に検討したい設備です。
局所排気装置と発散防止抑制措置の違いとは?
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局所排気装置は、床に直接置いて使う床置き型、立ち作業に適しているウォークイン型、机の上に装置を置いて使う卓上型に分けられます。大型の装置は床置き型が一般的ですが、キャスターがついていて移動できるものや一人で持ち運べるコンパクトなタイプもあります。作業環境に適した形状・重量の装置を選ぶことが大切です。
局所排気装置は室内の有害物質を含んだ空気を吸い込み、取り込んだ給気をすべて清浄化して屋外に排出します。大容量タイプの装置ほど給排気に電力を消費するため、省エネ対策には外気を補給して室内からの空気の流出を抑えられるものや、作業中以外の状態で消費電力を抑えられる機能を搭載している装置がおすすめです。
局所排気装置は、有機溶剤や粉じんなど室内に飛散する有害物質を除去するために必要な装置です。労働安全衛生法に規定されている作業環境測定において、発散抑制装置として全体換気装置または局所排気装置などを設置する必要があります。指定物質以外の物質でもばく露する可能性のあるものは局所排気装置の設置が必要です。
作業環境測定における
局所排気装置の取り扱いとは?
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SDGsは2016年からの15年間で達成すべき目標のことで、17の項目から構成されています。ものづくりを行う製造業では局所排気装置を活用し、有害物質を環境に放出しないように心掛け、作業員が安全に働ける環境を整え健康に配慮する必要があります。リユースやリデュースなどの省エネにかかわる項目も意識したいところです。
SDGs達成に貢献する局所排気装置の役割とは
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局所排気装置に使われている軸流式ファンは、少ない電力で大きな風量を生み出せる装置です。遠心式ファンは部分的な失速がなく、高い指向性と大きな排気量で、部品に囲まれた狭い場所でも動作するメリットがあります。2つのファンの違い、メリットやデメリットを比較して、有害因子に合わせたファンを選ぶことが大切です。
局所排気装置に使用される
軸流式・遠心式のファンとは
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集塵機のプレダスターを設置することによって、細かなゴミや紐の切れ端、大きめの切りくずなどを集塵装置に届く前に処理することが可能です。特に冬場などは静電気が発生しやすく、集塵装置のフィルターが目詰まりを起こしやすい季節でもあるため、集塵機のプレダスターをうまく使って集塵装置の負担を減らすようにしましょう。
集塵装置にある風量型と高圧型の違いは、風速の違いです。風量型は風速はそこまでないですが、広範囲に広がる浮遊粉塵を集塵するのに向いています。一方で高圧型は風速が強いため、付着粉塵の集塵に向いています。それぞれの特徴を把握することで、自社工場に向いた集塵装置を選ぶことができ、粉塵を効率よく集められるでしょう。
局所排気装置を設置する際には、届出をしなければなりません。労働基準監督署は、定期監督のほかにも申告があれば調査に入ることがあります。そのようなことにならないためにも、きちんと保全に気を使い、定期的に検査をすることが重要です。また、設置や移転の際にはきちんと届け出をしておくようにしましょう。
局所排気装置の不備に対する
労働基準監督署の調査
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インバータは電源から入力された直流を交流に変換する装置で、家庭用の電化製品や蛍光灯、工場の設備などに幅広く活用されています。集塵機では周波数の調節や風量制御によってランニングコストを削減する効果があり、電力を効率的に使えるメリットがありますが、イニシャルコストがかかるというデメリットも考慮しましょう。
電気集塵機は、空気中に浮遊する粒子にマイナスの電荷を与えて静電引力を起こし、粒子を捕集する装置です。乾式と湿式、または両用タイプがあり、捕集できる対象物の種類に合わせて選べます。バグフィルターと呼ばれるろ過式集塵機よりも高性能で、集めた汚れの除去も容易なものが多いため、作業環境の維持や公害防止に役立ちます。
集塵機は空気中にあるさまざまな粒子を捕集しますが、可燃性の物質が含まれている場合は火災に注意が必要です。特にガソリンなどが漏洩すると混合気体となって着火しやすい状態になり、火花や火の粉が飛ぶ作業現場では着火源を吸い込むことによる火災のおそれがあります。火災の原因を把握し、原因ごとに対策をとることが大切です。
パルスジェット(圧縮逆洗方式)とは、圧縮空気を内側からフィルターに向かって噴射し、瞬時にフィルターの汚れを払い落とす仕組みです。集塵機はフィルターを通してダストを捕集する構造のため、手動清掃タイプの集塵機は清掃のたびに人手が必要になります。清掃にかかる手間を省きたい場合は、パルスジェット式集塵機がおすすめです。
集塵機内のフィルターは、入口と出口でそれぞれ空気の圧力が発生します。2ヶ所に圧力差が生まれると「差圧」となり、差圧の変化や程度をチェックすることで、フィルターの汚れや破損といった物理的な変化が予測でき、クリーニング作業やメンテナンスが行えます。パルスジェット式の集塵機でも差圧はこまめにチェックすることが大切です。
集塵機は空気中の汚れを捕集して清浄化する設備です。工場や作業場に導入する場合は、減価償却の対象となります。減価償却は耐用年数と呼ばれる年数にあわせて1年ごとの経費として計上しますが、集塵機の場合は導入先の業種や製品ごとに年数が異なります。メーカーへの問い合わせまたは税務署に確認し、正しい耐用年数を把握しましょう。
集塵機はあらゆる粉じんを吸引しますが、内部では摩擦や剥離などの現象が起きやすく、集塵機火災と呼ばれるトラブルを引き起こすことがあります。集めた粉じんを安全に処理するためには静電気対策が必要です。湿式集塵機のように、静電気による発火を防ぐ集塵機の導入や、除電器(イオナイザー)の設置を検討しましょう。
集塵機は工場や作業場で発生したさまざまな汚れを吸引する装置です。空気中に100μm以下の粒子が含まれる状態を「エアロゾル」と呼び、エアロゾルの中には粉じんやばい煙、ナノ粒子と呼ばれる集塵が難しい物質なども含まれています。健康被害の可能性がある現場では、エアロゾルに対応している集塵機を導入しましょう。
製造現場のトラブルとして知られるコンタミは、「コンタミネーション(汚染・混入)」の略語です。製品の品質を低下させたり健康被害を引き起こしたりするおそれがあるため、空気中の不純物や製造機器、作業員などに付着した汚れを取り除く必要があります。作業環境に応じて適切な排気装置や集塵機を選び、コンタミ対策を行いましょう。
小型の集塵機は、コンパクトサイズの集塵機です。この特徴を生かして、作業台の下や工場の各生産ラインなどに設置されています。具体的な性能、機能は製品により異なります。静音性を高めたものやメンテナンス性を高めたものなどがあります。導入する目的や導入する環境にあわせて製品を選択することが大切です。
集塵機の遠隔操作は、離れた場所から電源のオン・オフを切り替えたり、風量をコントロールしたり、フィルタークリーニングを行ったりする機能です。離れた場所から操作できるため、作業員の負担軽減などにつながる可能性があります。ただし、具体的な性能・機能は集塵機で異なります。詳細を確かめてから導入しましょう。
ドローンによる集塵機の点検は、無人飛行機で撮影した画像を使って、集塵機やダクトを点検することです。ドローンを使って集塵機を外部から撮影する、ダクト内を撮影するなどの点検が行われています。ドローンを活用する主なメリットは、足場を組む必要がなくなるため、点検を手軽に行えることです。
集塵機は、空気を勢いよく吸い込んで排出する構造上、通常の動作音でも騒音になる場合があります。動作音が騒音になりやすいほか、異常が発生したときには異音となってさらに騒音が大きくなることもあります。定期的にメンテナンスや清掃を行い、騒音がひどくなったときは設備交換や集塵機の設置場所の変更も含めて対応しましょう。
レーザー加工とは、レーザーを使って対象となる材料を加工することです。作業中は溶解した金属が蒸気として空気中を舞う「溶接ヒューム」なども発生しやすく、作業者への健康被害やレーザー光の妨げなどがリスクとして懸念されます。レーザー加工用の集塵機を活用し、空気を清浄化することが大切です。
酸化反応と着火源への接触によって粉塵爆発を引き起こすおそれがある「爆発性粉塵」は、可燃性の粉体がもつリスクとして知られています。爆発性粉塵用の集塵機を活用し、作業場に可燃性の粉塵が浮遊しないように空気を清浄化することが大切です。また、作業者への危険性の周知や着火源の管理なども粉塵爆発の予防に有効です。
サイクロン式集塵機とは、機器の内部で空気を旋回させて、サイクロンの力でホコリや汚れを集める集塵機です。サイクロンによって大まかな汚れを取り除いてから、残りの空気をフィルターに通してさらに清浄化します。省スペースでも効率的に空気をきれいにできるので、作業者の健康被害の予防や作業環境が狭い場合にも有効です。
IoTとは「モノのインターネット」という意味の言葉で、日常生活で使われている物を通信可能な状態にする技術です。無人の状態にも対応できるので、省人化や人手不足の解消に役立てられています。集塵機にIoTを導入することで、稼働状況に応じて風量を自動調節したり、集塵機の稼働データやメンテナンス履歴を蓄積したりできます。
大型の集塵機は、通常サイズの集塵機よりも大容量かつ高効率に空気を清浄化できる機器です。フィルターや排気口も大きく造られており、高い集塵効果が期待できます。トンネル坑内の空気を清浄化する際にも大型の集塵機が活用されており、ダイオキシンや酸性ガスといった有害物質を除去できる高性能タイプも登場しています。
集塵機に取り付けられるフィルターは、吸い込んだ空気の中に含まれるさまざまな汚れを捕集し、清浄な空気にするための部品です。枚数によって1次フィルター・2次フィルターと呼ばれることもあります。粒径0.3μmの粒子を99.97%以上捕集できるものはHEPAフィルターと呼ばれています。
集塵機には、標準的な性能を持つものから高性能タイプまで、さまざまな種類があります。1分間に吸い込む風量や、集塵を行う環境に応じた「必要風量」を計算し、それに適した性能の集塵機を選定することが重要です。また、集塵機には高圧型と風量型の2種類があり、設置環境に合わせて適切な機種を選ぶ必要があります。
バグフィルターは、汚れた空気をろ布(フィルターバッグ)と呼ばれる部分に通して汚れのみを捕集し、空気を清浄化して環境汚染を防ぐ装置(またはフィルターの名称)です。ポリエステルやガラス繊維などでできたろ布は、捕集する物質の特性や粒径に合わせて選びます。工場やプラントなどの大規模な作業環境で使用されています。
重力式集塵機は、空気中の粉塵を自然沈降させて除去する装置です。風力で粉塵を吸引し、内部で粉塵とその他の粒子を分離します。粉塵は重力で沈降し、集塵室に溜まる仕組みです。サイクロン式と異なり、大きな気流を発生させる必要はありませんが、流速を遅くするため装置の容積が大きくなります。100μm以上の粒子に有効で、予備的な集塵や一次処理に使われます。
慣性力集塵機は、内部で気流の向きを変え、粒子に慣性力を与えて分離する装置です。粗粒子の分級や液滴分離、集塵機の前処理に使われます。粒子は直進する性質を持つため、気流が方向転換してもそのまま運動を続け、分離されます。大きな粒子に効果的ですが、小さな粒子は再飛散のリスクがあります。他の集塵機と組み合わせて空気中の粒子を効率的に除去します。
空気中の汚れを取り除く集塵機には、重力式・慣性力・サイクロン式・電気式・バグフィルター・スクラバーと呼ばれる種類があります。電気や慣性の力を使って汚れを捕集しますが、対象物の粒径や種類によっては捕集効果が低い場合があるため、粒子の種類・大きさ・作業環境や設置環境に合うものを選ぶ必要があります。
プッシュプル換気装置は、給気機能によって新鮮な空気を室内に送り込み、排気機能によって有害物質を排気します。局所排気装置は排気機能を用い、有害物質を発生源近くで排出する換気装置です。プッシュプル換気装置は室内全体の排気を行えるため、効率的に有害物質を排気します。ただし、性能が高い分導入費用も高くなるため、予算や目的に応じて検討する必要があります。
密閉式のプッシュプル換気装置は、密閉された室内の空気を入れ替え、有害物質を取り除ける換気装置です。開放式との違いとして、開放式は外気を取り入れて空気を入れ替えますが、密閉式は外気を使用しません。特定の空間に限定して換気を行うので、外の空気の温度や湿度の影響を受けることなく安定して空気を調整できます。
外部の空気を「プッシュ(押し込む)」して、有害物質を含む汚れた空気を「プル(引き出す)」ことで、室内の空気をきれいな状態に保つ換気システムです。密閉式は外気を使用しないため、外気の影響を受けずに稼働します。一方、開放式は外気を利用するため、外の気温や湿度の変化が換気効率に影響を与える場合があります。
それぞれ排気装置の設置場所が違えば、機器の導入の際に検討するべきポイントも変わってきます。ここでは「製造現場」「研究現場」「塗装現場」それぞれの設置場所に合わせて、排気装置メーカー3社をご紹介します。
導入を考えている場所と排気装置の特徴を見比べて、自社に合った排気装置選びの参考になさってください。