排気装置と換気扇、どちらも空気を排出する機器ですが、大きな違いがあります。ここでは、排気装置と換気扇の違いについて、詳しく解説しています。それぞれの特徴を理解しておきましょう。
排気装置と換気扇、おおきくまとめるとどちらも換気設備のひとつです。室内で発生する汚染された空気を排出し、室内の空気環境をきれいに保つ役割があります。
換気設備は原則としてすべての建物に設置義務があるものです。一般住宅はもちろん、オフィスビルや工場にも換気設備の設置は義務付けられています。換気設備は設置する場所に合わせて様々な種類があり、排気装置も換気扇もそのなかのひとつに分類されるのです。
換気扇が空気を入れ替えるのに対し、排気装置の主な機能は、空気を排出することです。
換気扇とは、屋内の汚染された空気を排出し、屋外の新鮮な空気を取り込む設備です。排出する空気を「排気」、取り入れる空気を「給気」と呼びます。換気にファンを使用することを「機械換気」、ファンを使用しない換気を「自然換気」と呼びます。現在、住宅などでは24時間換気システムの設置が義務付けられており、新築されるすべての住宅に取り付けられています。
換気を行うと室内の空気をきれいに保つことができますが、部屋に外の冷気や熱も取り込んでしまうため、暖かさや涼しさが逃げてしまうという弱点もあります。
換気とは、室内の汚れた空気を屋外に排出し、屋外の新鮮な空気を室内に取り入れることです。換気扇が主に使われる場所は、臭いや煙など、湿気などが発生する場所です。家庭であれば、キッチンやトイレ、お風呂、洗面所などで使用されています。そのほかにも、人の出入りの激しい場所やオフィス、レストランの厨房などでも換気扇が使用されます。
換気扇を回すことで、気になる臭いや煙を屋外に排出。室内への流入を防ぎます。
換気扇には直接排気式の「プロペラファンタイプ」とダクト排気式の「シロッコファンタイプ」があります。
プロペラファンタイプとは、住宅でよくみられるプロペラが付いたタイプの換気扇です。外壁面にプロペラファンを設置し、屋外へ直接排気します。排気量が多く、簡単に取り付けられるのが特徴です。
シロッコファンタイプとは、羽根車に幅の狭い羽が多数ついているタイプです。壁や天井裏に設置したダクトを通じて、煙や湯気を入気候へ誘導。フードに溜め込んで拡散します。
排気装置とは、工場や作業場などに設置する換気設備です。工場などで発生する有害物質や粉塵、ガスなど、人体に悪い影響を与える物質を、屋外に排出します。排気装置があることで、作業環境を整え作業員の健康を維持することができます。
有害物質が発生する場所のそばに空気の吸い込み口を設け、常に吸引し続けることで室内に有害物質が拡散するのを防ぐことが可能です。
汚れた空気を屋外にそのまま排出すると環境汚染につながる恐れがあるため、ダクトには空気清浄装置が取り付けられています。
排気装置は、工場や作業場、実験室などで広く使用されています。有毒ガスや粉塵などが発生する場所で設置され、有害物質が室内に拡散する前に外に排気します。有害物質が発生する場所に排気装置がなければ、室内は劣悪な環境になり、作業者に健康被害を与えかねません。
「鉛中毒予防規則」、「粉じん障害防止規則」、「石綿障害予防規則」など排気設備に関する法律があり、これらは、使用する物質や薬品などによって、適した方法で排気しなければならないことが義務付けられています。
排気装置にはいくつかの種類があり、それぞれに異なる特徴があります。
「局所換気装置」は、有害物質が出る場所に焦点を絞って設置する排気装置です。「プッシュプル換気装置」は、空気を吹き出すフードと気流を吸い込むフードを併せ持つ設備をいいます。どちらも周囲への汚染を防ぐことができ、排気も同時にできるのが特徴です。ただし設置には広い場所が必要なうえ、設備と運用にコストがかかります。
空気中の粉塵を空気と一緒に吸い取る機械を「集塵機」といいます。大量の粉塵を吸引でき、水分を多く含んだ粉塵の吸引も可能です。デメリットは、掃除機と比較すると吸引力が劣る点です。
換気扇と排気装置、どちらも換気装置のひとつですが、異なる役割があるものです。空気を入れ替える換気扇と、空気を排出する排気装置、それぞれの特徴を理解して選びましょう。どっちが合っているのかわからない場合は、業者に相談することをおすすめします。
それぞれ排気装置の設置場所が違えば、機器の導入の際に検討するべきポイントも変わってきます。ここでは「製造現場」「研究現場」「塗装現場」それぞれの設置場所に合わせて、排気装置メーカー3社をご紹介します。
導入を考えている場所と排気装置の特徴を見比べて、自社に合った排気装置選びの参考になさってください。