ここでは、排気装置の中でも工作機械による切削作業に役立てられているミストコレクターについて紹介します。
金属加工においては、工作機械で材料を切削する際に「オイルミスト」と呼ばれる粉塵が発生します。オイルミストは微粒子状になった油であり、機械が細かい動きを繰り返すほど粒子も細かくなります。
例えば、高速切削・高圧給油加工などでは加工に使用される潤滑油がせん断を受けるため、細かい粒子となりオイルミストが発生します。目に見えるものと見えないものとに分かれ、粒子状のため空気中に浮遊し、特有のにおいを放ちます。
適切にオイルミストを処理しなければ、人体や環境に影響を及ぼすおそれがあります。特に、オイルミストを吸引することで呼吸器系への悪影響が考えられ、アレルギー症状やその他の健康被害が懸念されます。
オイルミストは油そのもののため、浮遊したまま放置していると作業場の至る所に付着し、床に付くと非常に滑りやすくなります。電子機器や精密機器に付くと故障や不具合、思わぬ災害に繋がるおそれもあります。
危険だからといってオイルミストを吸引せずそのまま外に排出すると、今度は大気中に放出され自然環境を汚し、河川や土壌への汚染、工場周辺の建物や人々への被害をもたらすおそれが出てきてしまいます。
オイルミストの対策には「ミストコレクター(ミストコレクタ)」が適しています。ミストコレクターは、それまで使用されていたドライ加工による切削くずの飛散を防ぎ、オイルミストのみを空気から分離して吸引する機械です。
電気式ミストコレクターは、電気集塵式とも呼ばれています。空気、あるいは排ガスの中に浮遊しているオイルミストを、コロナ放電によってイオンを発生・荷電させて空気や排ガスから分離し、集塵極に集めます。
慣性衝突式ミストコレクターは、慣性の法則によって運動している粒子をフィルター繊維に衝突させて集める方法です。高速回転するスリットディスクに空気やガスが通り抜ける際、オイルミストのみ弾き飛ばされてフィルターに衝突し、捕集される仕組みです。
渦流分離式ミストコレクターは、旋回運動によってオイルミストの粒子に遠心力をつけ、捕集する方法です。オイルミストのみが内壁に衝突するので、不純物が取り除かれた空気のみが排出されます。
ミストコレクターを導入することで、空気や排ガス中からオイルミストを除去し、吸い込みによる呼吸器系への人体への影響が軽減されます。
工場や作業所内の機械にオイルミスト粒子が付着しにくくなり、排気の中にもオイルミストが含まれないために、環境への負荷を軽減できます。
ミストコレクターはその名のとおり、オイルミスト粒子を採り込んで集めるための機械です。人体、機械・空間・環境への負荷を最小限にしながら、さまざまな被害や悪影響のリスクを減らす効果が期待できるでしょう。
それぞれ排気装置の設置場所が違えば、機器の導入の際に検討するべきポイントも変わってきます。ここでは「製造現場」「研究現場」「塗装現場」それぞれの設置場所に合わせて、排気装置メーカー3社をご紹介します。
導入を考えている場所と排気装置の特徴を見比べて、自社に合った排気装置選びの参考になさってください。