ここでは、燃焼式排気装置(RTO)の特徴とメリット・注意点について詳しく紹介します。
燃焼式排気装置は、RTO(Regenerative Thermal Oxidizer:蓄熱式脱臭装置)は、排気処理装置の一種であり有機化合物などを熱の力で酸化分解する装置です。
排気の中に含まれる有害物質を800度以上の高温に燃焼し、無害化することができます。工場などで使われている有機溶剤には、揮発性有機化合物(VOC)が含まれていますが、高温に燃焼することで処理・脱臭します。
熱効率が高いため、使用エネルギーを最小に抑えながら浄化された空気は蓄熱材に放熱しながら下降して排気され、きれいになった空気だけが外に出ていきます。
蓄熱材による熱交換処理を行うことで、85%以上という熱回収率が得られるため、経済的です。
ランニングコストを抑えながら、排気に含まれる有害物質を効率的に除去できるため、大規模工場や低コスト化を叶えたい現場にも適しています。
平成16年に改正された大気汚染防止法では、浮遊粒子状物質および光化学オキシダントの原因の一つである揮発性有機化合物(VOC)の排出規制が規定されました。
法律の改正に合わせて国内では排ガスの処理装置が数多く導入されるようになりましたが、なかでも燃焼式排気装置は低コストでVOCを除去できるため、環境法の遵守に大きく貢献しています。
85%以上の高い熱効率が期待できる装置ですが、製品によっては98%以上で安定的に運転が行えるなど、効率的な運転が行えます。
装置の切り替え方式もロータリー式・2塔式・3塔式と複数の種類から排気条件に見合うものが選べます。
燃焼式排気装置は、可燃性の悪臭物質に幅広く適用できる装置です。
一方で、触媒性能を低下させるおそれのある有機シリコンなどを脱臭処理しようとすると、燃焼によってハニカム構造の蓄熱体の表面にシリカが堆積し、開孔を閉塞するおそれがあります。
タールのような高沸点化合物の場合も、蓄熱体に付着して開孔を閉塞させるおそれがあり、付着したものが脱着して大気中に放出されるため、物質の特性を見極めたうえで定期的な清掃やその他の対策を行う必要があります。
窒素を含んでいる物質を燃焼すると、窒素の一部が変化して臭気が発生します。
脱臭のために燃焼をかけたものが、かえって悪臭を発生させる可能性があるため、燃焼式以外の装置に変更するか、燃焼式排気装置のうしろに脱硝装置を設けるなどの対策が必要になるでしょう。
燃焼式排気装置(RTO)は、低ランニングコストで排気の中の物質を取り除き、清浄な空気を排出する装置です。
しかし燃焼する物質によってはさらなる悪臭の発生や蓄熱体の閉塞を招くおそれがあるため、その場合は排気中の物質に適した方法を用いるようにしましょう。
それぞれ排気装置の設置場所が違えば、機器の導入の際に検討するべきポイントも変わってきます。ここでは「製造現場」「研究現場」「塗装現場」それぞれの設置場所に合わせて、排気装置メーカー3社をご紹介します。
導入を考えている場所と排気装置の特徴を見比べて、自社に合った排気装置選びの参考になさってください。