ここでは、排気装置に搭載されているスクラバーの役割や種類について詳しく紹介します。
排気装置の「スクラバー」とは、工場施設や設備から排出された排ガスを処理する装置です。
排気装置の内部に搭載され、酸のような人体にとって有害な排ガスを水洗い・薬液による中和処理・吸着といった方法で除去し、きれいな空気のみを大気中に放出します。
スクラバーにはいくつかの処理方法があり、装置のサイズや設置方法も多種多様なため、設置環境と排ガスの種類、各種法令に則った装置を選ぶことが大切です。
湿式スクラバーは、排風機で有害なガスを集めてから洗浄装置内で排気ガスと水を接触させ、空気をきれいにする装置です。
除去の方法として、水に排ガスを溶け込ませて除去する物理吸収と、ガスの成分を中和または分解して除害する化学吸収の2通りに分けられます。
乾式スクラバーは、湿式で除去しにくい成分・悪臭を吸着剤や活性炭の力で除去する装置です。
対象となる排ガスにあわせて吸着剤を選び、プレフィルターに排ガスを通してホコリを取り除いて、活性炭などの吸着剤を充填したカートリッジに気体を通しながら、溶剤分子などを取り除きます。
酸性ガス・アルカリ性ガス・粉じん・臭気ガス・ミストといったさまざまな物質を除去できるため、有毒なガスが発生しやすい環境や、厳格に法令を遵守する場合に役立ちます。
初期費用と維持費を両方とも押さえ、排ガスを処理できる点もスクラバーのメリットです。
排ガス処理装置のうち、蓄熱式燃焼脱臭装置など、高い脱臭力を備えている装置は初期費用が高額になるほか、水分粉じんを含む場合は維持費も増加します。
その点、スクラバーはダストの電気抵抗値に関係なく効率を維持しながら、一つの設備で酸性ガス・重金属・粒子状物質の排出抑制が可能です。
湿式スクラバーは循環液の定期的な交換が必要です。環境によっては薬液の供給や液漏れを防ぐ設備も追加しなければなりません。
乾式スクラバーは吸着を続けると飽和するため、新しいフィルターやユニットに交換が必要です。同じものを使い続けることはできませんので、定期的に交換を行いましょう。
スクラバーは、香料や有機溶剤を扱う工場、汚水処理施設などさまざまな環境で活用されています。近隣や環境への公害を抑制し、悪臭を低減する目的で利用されています。
スクラバー装置は、ロボットスクラバーのように省力化を叶える製品や、高効率・低負荷・シンプルな設計のタイプも選べます。
形状・大きさ・設置方法・湿式と乾式の違いがあり、処理する成分や臭気にそれぞれ適したものを選ぶことが大切です。
それぞれ排気装置の設置場所が違えば、機器の導入の際に検討するべきポイントも変わってきます。ここでは「製造現場」「研究現場」「塗装現場」それぞれの設置場所に合わせて、排気装置メーカー3社をご紹介します。
導入を考えている場所と排気装置の特徴を見比べて、自社に合った排気装置選びの参考になさってください。