排気装置に欠かせないフードは、実にさまざまな種類があります。フードの種類によってメリットやデメリットが異なるほか、適応する作業環境が異なります。排気装置を選ぶ際は、フードの種類もしっかり把握しておきましょう。ここでは、排気装置におけるフードについて解説します。
囲い式フードは、発散源を覆うようにして取り付けられているフードです。囲うことで開口部に吸い込み気流を与え、有害物質の飛散を防止します。主に4つの種類があり、適応している作業環境が異なります。
囲い式フードのメリットは、小さい排風量で有害物質の吸引と飛散防止効果が期待できる点です。外部からの気流の影響を受けにくいため、排風量が限られるケースに適しています。有害物質の暴露も減らすことが可能です。
一方、フード内は高濃度の有害な排気で満たされています。有害物質にさらされる危険があるため、中に立ち入るのはもちろん、顔を近づけることも避けなくてはいけません。十分な広さを確保し、できる限り開口部を減らす対策も求められます。
カバー型・グローブボックス型は、有害物質の発生源が囲まれている囲い式フードです。開口部はほとんどありません。適応作業環境は、カバー型が乾燥や粉砕、撹拌などの作業工程、グローブボックス型はアイソトープ・毒ガスの取り扱いなどです。
ドラフトチャンバ型・建築ブース型は、作業の都合から発生源を囲んだフードの一面を間口にした囲い式フードです。適応作業環境はドラフトチャンバ型が袋詰や分析・調合、研磨など、建築ブース型が溶接や切断、吹付け塗装などです。
外付け式フードは、開口部外にある有害物質の発生源に吸い込み気流を生み出し、周辺の空気と一緒に吸引するフードです。吸引方向によって下方吸引型・側方吸引型・上方吸引型の3タイプに分けられます。
外付け式フードを設置する場合、有害物質周辺の空気も吸い込まなくてはいけないため、囲い式フードに比べて大きな吸引風量・排風量が求められます。風量が小さい場合、有害物質がしっかりと吸引されず、排気装置が十分な性能を出せなくなる可能性があります。
作業員は有害物質の発生源とフード間に立ち入らないよう注意が必要です。フード間は高濃度の有害物質が存在しているため、暴露してしまう可能性があります。立ち入らなくて済むよう、しっかり安全対策を取りましょう。また、新規に導入する際は各種法令の要件をチェックし、販売業者に相談することをおすすめします。
レシーバー式は、気流の方向に沿って粉塵やガスなどの有害物質を捕集することが可能なフードです。有害物質の発生源で熱による上昇気流や、回転を伴う気流があり、有害物質が気流に乗って飛散する場合に設置されます。
その構造上、レシーバー式は空気よりも比重が軽い有害物質を集める際に適しています。一方で、空気より比重が重い有害物質には効果が期待できません。そのため、有害物質の比重によっては他のフードを設置する必要があります。
レシーバー式においても、作業員は有害物質の発生源とフードの間に立ち入らないことが重要です。高濃度の有害物質にさらされるため、作業員が暴露してしまうリスクがあります。むやみに立ち入らせないなど、対策を徹底しましょう。
作業現場で有害物質が発生する場合、排気装置を設置する必要があります。しかし、フードによって排気装置の能力が変わりますので、種類と違いを確認したうえで選ぶことが求められます。作業環境によって適切なものをチョイスしましょう。
排気装置の導入時は、業者にフードの種類を相談することも大切です。フードの種類によって法令の要件も異なりますので、作業現場での適性も踏まえて問い合わせてみましょう。
それぞれ排気装置の設置場所が違えば、機器の導入の際に検討するべきポイントも変わってきます。ここでは「製造現場」「研究現場」「塗装現場」それぞれの設置場所に合わせて、排気装置メーカー3社をご紹介します。
導入を考えている場所と排気装置の特徴を見比べて、自社に合った排気装置選びの参考になさってください。