湿式塗装ブースとは、塗装作業において専用の仕切られた空間であり、「局所排気装置」に分類される設備です。本記事では湿式塗装ブースの概要や事例について解説します。
湿式塗装ブースは、循環水でオーバースプレーミスト(余剰塗料)を回収する装置です。以前はポンプ式が一般的でしたが、現在ではポンプ不要の「ベンチュリーブース」が多く使われています。
吹き付け塗装時には、オーバースプレーミストの飛散を防ぐための対策が求められます。湿式塗装ブースは、オーバースプレーミストを含む排気を水と混合して水中に捕集する方法です。
乾式塗装ブースと湿式塗装ブースの違いは、湿式ブースが循環水を利用するのに対して、乾式ブースはオーバースプレーミストを吸い込み、直接フィルターに吸着させる点です。乾式塗装ブースは使用を続けるとフィルターに塗料が付着し、吸引力が低下するため、定期的なフィルター交換が求められます。湿式塗装ブースでも、水の入れ替えや設備の清掃などのメンテナンスが必要です。
以下のページでは、業務用塗装ブースについて詳しく解説しています。こちらもぜひ参考にしてください。
湿式塗装ブースの前面板に水を流し、汚れを防ぎながら吹き付けた塗料を回収します。水流板を流れる水が塗料ミストを洗い流すため、前面板の清掃が容易になり、塗装ブースの捕集効率も向上します。本製品には、暗い場所でも作業しやすいLED照明付きのタイプや、爆発性危険雰囲気で使用可能な製品など、用途に応じた種類があります。
参照元:アネスト岩田公式HP(https://www.anest-iwata.co.jp/products-and-support/coating-robots-and-coating-system/painting-booth)
水ポンプを使用しない湿式塗装ブースです。排気ファンの力で水を吸い上げて、後方にある渦巻室で水膜を生成し、塗料ミストを引き込みます。捕集した塗料ミストは水中ダクトを通じて正面側に戻るため、メンテナンス時に回収できます。本製品には、LED照明付きのタイプや、爆発性危険雰囲気で使用できるタイプがあります。
参照元:アネスト岩田公式HP(https://www.anest-iwata.co.jp/products-and-support/coating-robots-and-coating-system/painting-booth)
省スペースで活用でき、メンテナンス性の高い湿式塗装ブースです。メンテナンス扉を大きく取っているので、内部メンテナンスがしやすい構成になっています。また、正面下部に設置しているノコギリ板は、特殊な加工によって簡単に取り外しができ、こちらもメンテナンス効率を高めている点が特徴です。
循環ポンプを装備し、ブース前面に水流を追加することで、正面部の汚れを防いで清掃作業性を向上させることが可能です。また、ブースの後面に分離槽を設置し、スラッジの回収を簡単に行えます。分離扉と点検扉は、用途によって設置場所を側面に変更することも可能です。
オプションとして、微生物の力を利用した水浄化システムと、フード上部と側面に設置できる蛍光灯があります。
参照元:大塚刷毛製造株式会社公式HP(https://www.maru-t.co.jp/uptfil/catalog/1910/c8165653568.pdf)
湿式塗装ブースは、循環水を使用してオーバースプレーミストを回収する設備です。乾式塗装ブースと比較して捕集効果が高いという特徴があります。
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それぞれ排気装置の設置場所が違えば、機器の導入の際に検討するべきポイントも変わってきます。ここでは「製造現場」「研究現場」「塗装現場」それぞれの設置場所に合わせて、排気装置メーカー3社をご紹介します。
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