実験室や製造現場では、作業者の安全確保と作業環境の清浄維持が求められます。こうした目的を果たす手段の一つが、目に見えない空気の壁で有害物質の飛散を抑えるエアカーテン型排気装置です。基本的な仕組みや用途、導入のメリットなどを解説します。
エアカーテンとは、高速で噴出される空気の流れによって空間を分断する、目に見えない空気の壁を指します。外気の侵入や内部空気の流出を防ぐ用途で使用することが多く、排気装置にも応用されています。
主な用途として以下が挙げられます。
【用途の例】
ドラフトチャンバーと異なり完全密閉ではありませんが、開放性を保ちつつ一定の封じ込め効果が得られます。
排気目的で使用されるエアカーテン型装置は、空気の流れでバリアを形成し、有害なガスや微粒子の飛散を抑制する仕組みです。作業者と有害物質の発生源との間を遮断する働きがあります。垂直・水平いずれの方向にも設置可能であり、空気の方向や強度を制御することで、有害物質を効率的に封じ込められる構造になっています。
屋内と外気の間に空気のカーテンを作ることで、外から風・ホコリ・ガスなどが入り込むのを効果的に防げます。屋内環境の維持に貢献できる点が利点の一つです。
また、外気の流入を抑えることで、冷暖房効率の向上にもつながります。エアカーテンでは物理的な仕切りを設けることなく空間を区切れることから、作業者の視界を遮ることがありません。細かな作業時にも効率を損なわず、安全対策に活用できます。
ファンを外付けにしたエゼクタ排出方式のシステムです。エアカーテンの吹き出しで有害ガスを排出口に誘導できるほか、吹き出しと吸引の作用により、有害ガスを発生源付近で効率よく捕捉・排出します。
参照元:朝日工業社(https://www.asahikogyosha.co.jp/solution/solutions/exhaust/)
エアカーテン式のドラフトチャンバーです。外気を供給することで、室内空気の流出を抑制します。間口寸法や排気風量、給気風量、機内静圧、重量などが異なる3タイプを展開しています。
参照元:株式会社協立製作所(https://www.kyoritsu-yes.co.jp/product/kyokuhai/draftchamber/draftchamber05.html)
局所吸引とエアカーテンを併用することで効率的な形でホルマリン対策ができるシステムです。ホルマリンに加えて、キシレンなどの有機溶剤にも対応可能です。
参照元:松浪硝子工業株式会社(https://www.matsunami-glass.co.jp/product/environmental/airflow_system/)
外気を取り入れる給気機能を備えたドラフトチャンバーです。ヤマト科学株式会社で展開するラボキューブシリーズの収納・機器ユニットを設置することで、作業効率の向上にもつながります。
参照元:ヤマト科学株式会社(https://www.yamato-net.co.jp/product/show/lds-n180sa/)
エアカーテン型の排気装置は、空気のカーテンによって、作業環境の安全性向上に寄与する技術です。密閉型装置に比べて構造上の柔軟性があり、作業性や視認性、導入コストの面でもメリットが見込まれます。用途や環境に応じて適切に導入することで作業者の安全対策と効率性の両立が期待されます。
それぞれ排気装置の設置場所が違えば、機器の導入の際に検討するべきポイントも変わってきます。ここでは「製造現場」「研究現場」「塗装現場」それぞれの設置場所に合わせて、排気装置メーカー3社をご紹介します。
導入を考えている場所と排気装置の特徴を見比べて、自社に合った排気装置選びの参考になさってください。