排気装置の一つである「プッシュプル換気装置」。その名の通り、空気を吹き出す「プッシュフード」と、気流を吸い込む「プルフード」の二つを合わせて使うことで、有害物質を排気する装置です。
気流の作り方によっていくつかの形が存在します。その仕組みは大まかにいうと、プッシュフードとプルフードで有害物質の発生源を挟み込み、気流を作ることで有害物質を処理するというもの。
主に自動車や鉄鋼などの塗装現場、アーク溶接現場、手持ちグライダーを使う研磨現場などの作業現場で使われます。
有害物質を拡散することなく換気
有害物質の発生源の前後に、プッシュフード(空気を吹き出す部分)とプルフード(気流を吸い込む部分)を設置します。
プッシュフードから噴出されるその空気の気流は、プルフードに吸引されていくという仕組みになっています。平均0.3m/s前後の緩やかな気流により、有害物質が拡散することなく換気されます。
プッシュプル換気装置は、有害物質の発生源を気流で挟み込んで換気するため、周囲を汚染する危険が少ないです。
また、排気も同時に行うことができるのも利点です。気流を使って換気するため、局所排気装置とは違って、作業性を損なう心配が少ない点も魅力です。
プッシュプル換気装置のデメリットとしては、主に設置に関する点が挙げられます。
プッシュプル換気装置そのものが大がかりな装置であるため、設備の設置に場所がとられてしまいます。 また、設備や運用にコストがかかるのもデメリットとなります。導入の際はコスト面も考慮しましょう。
密閉式とは、プッシュプル換気装置の周囲を壁で囲み、作業場を密閉して、室内全体に気流を発生させて換気するタイプのプッシュプル換気装置です。
壁で取り囲むため設備が大がかりとなり、設置コストも高くなりますが、密閉されている分有害物質の吸引力は高くなります。
開放式とは、周囲を壁で囲わず、作業場の一部分だけに気流を発生させるタイプのプッシュプル換気装置です。
密閉されていないため、気流の途中に障害物などがあると適切に換気できない場合もありますので注意が必要です。
プッシュプル換気装置を導入する際には、作業場の環境や、発生する有害物質の種類などをしっかりと調べて、用途に合ったものを選ぶようにしましょう。
コスト面を考慮しつつ、確実に有害物質を排気する技術を持っているかどうかがポイントになります。そのため、性能が信頼できる老舗メーカーから選ぶとよいでしょう。
それぞれ排気装置の設置場所が違えば、機器の導入の際に検討するべきポイントも変わってきます。ここでは「製造現場」「研究現場」「塗装現場」それぞれの設置場所に合わせて、排気装置メーカー3社をご紹介します。
導入を考えている場所と排気装置の特徴を見比べて、自社に合った排気装置選びの参考になさってください。