空気中の粉じんを捕集する際に注意したいものの一つが、集塵機火災と呼ばれるトラブルです。火災の原因はさまざまですが、予防のためには静電気対策が必要です。ここでは、静電気によって起こりうるトラブルと集塵機の静電気対策を紹介します。
集塵機は粉じんやチリ・ホコリなどさまざまなものを吸い込みます。集められた粉体同士が摩擦や剥離を起こすと電荷が発生し、摩擦帯電や剥離帯電と呼ばれる現象を引き起こします。
摩擦帯電は2つの物体が擦り合うことで静電気が発生する現象です。剥離帯電は接触していた2つの物体が離れたときに静電気が発生する仕組みです。
集塵機内で静電気が発生すると、帯電によって多くの粉じんが集まるため、フィルターが目詰まりを起こしやすくなります。静電気の火花から火災が起きると、集塵機が出火原因となり工場火災や爆発に発展するおそれもあります。
機器の内部で火災が発生すると、目視で気づきにくく初動が遅れることがあります。その結果、火災が大きくなり外へと延焼してしまうのです。
2001年1月9日に工場で起きた集塵機火災では、フィルターに付着した粉じんから静電気が発生し、静電気の蓄積によって火災が2度にわたり発生しました。
このトラブルでは、静電気による火災と考えられていたため対策を施しましたが、その後も同じ集塵機から火災が起きたため、吸引した鉄粉の自然発火など複合的な要因も含めた対策が講じられました。
安全に集塵機を使用するためには、防爆対策と呼ばれる火災や爆発の対策が不可欠です。湿式集塵機は、粉じんを水などの液体で捕集して湿気を与え、静電気のリスクを抑えることができます。
静電気除去装置は、除電器(イオナイザー)などの名称で知られる装置です。既存の集塵機に取り付けるだけで内部のイオンを中性な状態に近づけ、静電気の発生を抑えます。
電気集塵機とは、空気中に含まれる粉じんなどにマイナスの電荷を与えて、プラスの高圧電極に引き寄せる集塵機です。空気をただ吸い込むだけでなく、電荷を与えることで効率的に汚れを捕集し、空気をきれいにします。
さまざまなガスや粉じんに対応でき、フィルターの清掃や交換もしやすい捕集方法です。
集塵機は作業環境の空気を清浄化するために欠かせないものですが、大量の粉じんが集まると、静電気による火災のリスクが高まります。
静電気火災のおそれがある現場では、湿式集塵機や除電器を導入し、防爆対策を実施しましょう。
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