半導体工場では製造工程ごとに毒性の高いガスが発生し、適切な除害処理が不可欠です。特殊ガス排気システムとスクラバーの連携を軸に、排気装置の処理方式と選定の考え方を整理します。
成膜・エッチング・クリーニング・ドーピングの各工程では、シラン(SiH4)やホスフィン(PH3)、アルシン(AsH3)、TEOS、TCS、DCSなどの特殊材料ガスが使われています。人体への毒性が高く、処理を怠れば重大な事故を招きかねません。
製造過程で発生するCF₄などのPFCガスやSF₆は、地球温暖化係数が極めて高い物質です。半導体工場の排気装置は作業者の安全と環境規制対応を同時に果たしており、工場運営に欠かせません。そのため、各製造装置から排出される特殊ガス排気システムと、それを確実に除害するスクラバーとをシームレスに連携させた統合的な排気設計が求められます。
半導体工場の排気装置として広く導入されているのが湿式スクラバーです。
湿式スクラバーは真空ポンプ直後にPOU(ポイント・オブ・ユース)で設置し、ファブの排ガスラインを汚染や腐食から保護します。水溶性汚染物質の除去に優れ、メンテナンスも容易な方式です。
成膜系・エッチング系・クリーニング系と幅広い工程に対応し、100slm単位からキャリア含め1000slm単位まで処理が可能なケースもあります(※)。大流量の排気処理にも対応できる点は、規模の大きい工場にとって重要な判断材料です。
※参照元:OKIエンジニアリング(https://www.oeg.co.jp/env_sys/gus.html)
CF₄やSF₆など難分解性のPFCガスは湿式だけでは処理できません。750℃級の高温で分解する触媒式処理などが有効で、前処理スクラバー→触媒分解→酸スクラバー(1次・2次)と多段構成で段階的に浄化する方法があります。
実際に、大規模な半導体工場ではPFCガス削減のために、触媒を利用した総合処理施設(RCS)が導入されている事例もあります(※)。
また、ドーピング工程のPH3やAsH3には大風量吸着方式が選ばれることもあり、ガスの特性に応じて湿式・触媒式・吸着式を組み合わせることが排気設計の基本です。
※参照元:サムスン電子半導体(https://semiconductor.samsung.com/jp/sustainability/environment/climate-action/we-are-minimizing-greenhouse-gases-until-we-hit-zero/)
排気装置を導入する際は、次の5つの観点から検討を進めると自社に合った装置を選びやすくなります。
半導体工場の排気装置は、処理するガスの特性や工程規模に応じて湿式スクラバー・触媒分解・吸着方式を使い分ける必要があります。PFCガスへの対応には高温触媒分解や多段処理も視野に入れなければなりません。
工場全体の安全と環境対応を両立するには、発生するガスの種類と量を正確に把握することが出発点です。処理方式・装置構成・メンテナンス体制を総合的に比較検討し、自社に適した排気装置を選定しましょう。
それぞれ排気装置の設置場所が違えば、機器の導入の際に検討するべきポイントも変わってきます。ここでは「製造現場」「研究現場」「塗装現場」それぞれの設置場所に合わせて、排気装置メーカー3社をご紹介します。
導入を考えている場所と排気装置の特徴を見比べて、自社に合った排気装置選びの参考になさってください。