有害なガスや蒸気を適切に処理するためには、専用の装置が必要とされており、その代表例がドラフトチャンバー(ヒュームフード)です。ここではドラフトチャンバーの基本的な用途・仕組み・他の設備との違い・選び方のポイントまでわかりやすく解説します。
ドラフトチャンバーは、有機溶剤や特定化学物質などの有害物質から作業者を守るための局所排気装置です。一般的には前面には上下にスライドするガラス窓がついており、窓を少し開け、下部の開口部から手を入れて実験などの操作を行う構造です。
主に化学薬品を扱う研究施設や製造工場などで、有毒なガスや蒸気を排出・換気するために使用されます。ドラフトチャンバーの内部で稼働するファンによって空気を吸い込み、ダクトを通して屋外にガスや蒸気を排出します。この仕組みによって、作業者が直接有害物質を吸い込むリスクを抑える効果が期待されます。
ドラフトチャンバーの作業エリア内は陰圧の状態になっています。外部よりも内圧を低く保つことで、有害物質が外部へ漏れ出すのを防止する構造になっています。吸引した有害物質を含む空気はフィルターを通してろ過された後、屋外に放出されるか循環して室内に再循環されます。
ドラフトチャンバーの対象は主に空気中に飛散する有害物質で、保護の対象となるのは作業者です。一方、安全キャビネットは作業者・環境・試料が保護の対象であり、高性能なHEPAフィルターを使用して無菌環境を維持します。主に感染症対策の一次封じ込め装置として使用するのが安全キャビネットです。
局所排気装置と安全キャビネットの違いについては、以下のリンク先で詳しく解説しています。こちらもぜひご覧ください。
クリーンベンチは試料を無菌状態で扱うための装置であり、作業者ではなく試料を保護する目的で使用されます。一方、ドラフトチャンバーは作業者を有害物質から守るために設計されています。空気は作業者に向かって流れるので、ドラフトチャンバーとは異なり有害物質を扱う用途には適していません。
クリーンベンチとの違いについては以下でも紹介しているので、ご覧ください。
ドラフトチャンバーには、卓上型のコンパクトなものから大型の据え置きまで、多くの種類があります。設置場所の広さや搬入経路を踏まえたうえで、用途に合ったサイズ・形状を選定する必要があります。
扱う化学物質により、必要な排気能力が異なります。たとえば、揮発性の高い溶剤・酸性ガスを扱う場合は強い排気能力を備えた製品を選定することが求められます。使用頻度や用途に適した風速やフィルター性能が確保されているか、事前に確認しましょう。
メンテナンスしにくい装置は機能劣化やトラブルにつながるため、点検やフィルター交換のしやすさも確認しておきましょう。フィルター交換や清掃がしやすい構造になっているものを選ぶことが重要です。
ドラフトチャンバーは、有害物質の曝露リスクを軽減するために用いられる局所排気装置です。安全キャビネットやクリーンベンチとは使用目的が異なるため、それぞれの特性を理解したうえで、用途に適した機種を選定することが求められます。
それぞれ排気装置の設置場所が違えば、機器の導入の際に検討するべきポイントも変わってきます。ここでは「製造現場」「研究現場」「塗装現場」それぞれの設置場所に合わせて、排気装置メーカー3社をご紹介します。
導入を考えている場所と排気装置の特徴を見比べて、自社に合った排気装置選びの参考になさってください。