ここでは、排気装置から排出される排気量の計算方法、計算に関する注意点について紹介します。
排気装置から出る排気量は、フード部分の種類に応じて計算方法が変わります。囲い式と外付け式では、それぞれ以下の計算式で排気量を計算します。
囲い式のフードは、必要排風量がフードの開口面積に比例します。開口面積を小さくするとフードを効率的に使えるようになります。
必要排風量を求める計算式は以下のとおりです。
必要排風量(Q)=60×K係数×制御風速(V)×開口面積(A)
※60をかけて風速を分速に変換する
※K係数は気流が分布する際にムラができるため、補正係数としてかけあわせる
一例として、開口部が縦と横でそれぞれ1mの囲い式フードがあり、開口面の制御風速1m/秒を得るために必要な必要排風量(補正係数にムラはないとする)を計算すると、以下のような式ができあがります。
K=1
制御風速(V)=1m/秒
開口面積(A)=1×1=1㎡
必要排風量(Q)=60×1×1×1=1㎥/分
外付け式のフードは、捕捉点までの距離の2乗に比例します。開口面から捕捉点(発散源)までの距離を測定し、長さを短くすることで効率的に使えるようになります。
必要排風量を求める計算式は以下のとおりです(円形・長方形の場合)。
必要排風量(Q)=60×制御風速(V)×(10×距離×距離+開口面積(A))
※60をかけて風速を分速に変換する
※距離はメートル単位
一例として、開口部が縦と横でそれぞれ1mの外付け式フードがあり、距離も1m、捕捉点(発散源)の制御風速1m/秒を得るために必要な必要排風量を計算すると、以下のような式ができあがります。
制御風速(V)=1m/秒
必要排風量(Q)=60×1×(10×1×1+1)=660㎥/分
開口面から捕捉点(発散源)までの距離が1mから2mになると2460㎥/分となり、660㎥/分の倍の排風量が必要になることがわかります。したがって、開口面から捕捉点(発散源)までの距離を短くすることで、外付け式フードを効率的に使えるようになります。
圧力損失の計算などの注意点について詳しくみていきましょう。
排気装置は、個々の発散源ごとにフードを選定して、さらに設置位置も考慮しなければなりません。フードの型式が決まることで必要排風量が計算できるので、まずは型式を決める必要があります。
手順としては発散源→フード→配管→集塵機本体→排気の順番に検討・選定をしていきます。いずれも性能を確認し、室内外の設置に適した位置や距離を検討しましょう。
フードは大きく分けて囲い式と外付け式の2種類がありますが、外付け式についてはフランジ付き円形(または長方形)の場合は以下の計算式になります。
Q=60×0.75×V(10×距離×距離+A)
床・テーブル・壁などに接して設けている長方形フードの場合は以下の計算式になります。
Q=60×V(5×距離×距離+A)
局所排気装置は屋外に排気ができる場所に設置するなど、適切な位置と製品の選定が必要です。設置計画は手順にしたがって、発散源ごとにフードを設け、そこから正しい計算式をもって計算するようにしましょう。
それぞれ排気装置の設置場所が違えば、機器の導入の際に検討するべきポイントも変わってきます。ここでは「製造現場」「研究現場」「塗装現場」それぞれの設置場所に合わせて、排気装置メーカー3社をご紹介します。
導入を考えている場所と排気装置の特徴を見比べて、自社に合った排気装置選びの参考になさってください。