局所排気装置と安全キャビネットの違いを把握していないと、機器の選定で混乱し、適切なものを選定できないリスクがあります。基本的に2つの機器は、対象も用途も仕組みまでも違うものです。どんな違いがあるか解説します。
局所排気装置と安全キャビネットは、検査室のような場所で使われる機器です。外見も似ているために「同じ目的の機器で似たようなもの?」と混同しがちですが異なります。具体的にどのような違いがあるかを把握しなければ混乱するだけです。
局所排気装置と安全キャビネットは、保護する対象や気流まで違います。その点を理解していないと、安全性の高い空間を作ることはできません。作業をする人間も安全性の面でリスクは避けたいでしょう。保護対象や気流が違うのはどういうことか解説します。
保護対象が違います。局所排気装置は、有毒ガスという危険性の高いものから作業者と室内環境を保護するのが目的の換気設備です。安全キャビネットは、感染症対策の一次封じ込め装置として、世界的にも使用されています。環境や作業員や試料を、バクテリアやウイルスや細菌などから保護する目的で採用されているのです。
局所排気装置は、有毒ガスによって作業者が被害を受けないよう、全面開口部から室内の空気を吸い込む仕組みです。吸い込まれた空気は装置上部からダクトを通って屋外に排出されます。
安全キャビネットは、全面開口部から空気を吸い込み、HEPAフィルターを通って実験室に循環排気、または屋外に排気される仕組みです。
安全キャビネットは、微生物や病原体によるバイオハザードから作業者を保護することが目的です。また、室内に拡散するのを抑制するためにあります。とくに、病原体、遺伝子組換え生物などを取り扱っている大学や、研究所、医療機関の検査室で使われるものです。
安全キャビネットは、クラスⅠ、クラスⅡタイプがあります。クラスⅡはA、B、Cの3つです。クラスⅠは陰圧運転で作業者の保護をします。クラスⅡのAは室内に空気を再循環させるのが特徴です。
ただ、臭気物質を扱うようなときは屋外排気をする場合があります。クラスⅡのBは、専用排気システムに接続。危険な化学物質に向いている機器です。クラスⅡのCはAとBのハイブリッドタイプで、室内循環と屋外排気を切り替えられます。クラスⅢでは、密封されたクローズボックスです。
局所排気装置と安全キャビネットは、保護対象も含めた使用目的も気流も違います。なにを目的にしているかを把握しないと、適切な装置を選定できません。とくに有毒ガスやウイルスや細菌は作業者の生命にも関わるリスクの大きなものです。
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それぞれ排気装置の設置場所が違えば、機器の導入の際に検討するべきポイントも変わってきます。ここでは「製造現場」「研究現場」「塗装現場」それぞれの設置場所に合わせて、排気装置メーカー3社をご紹介します。
導入を考えている場所と排気装置の特徴を見比べて、自社に合った排気装置選びの参考になさってください。