はんだ付け作業で発生するヒューム(煙)は、作業者の健康に影響を及ぼすおそれがあります。そのため、単なる室内の空気循環にとどまらず、有害物質を屋外へ排出する「排気装置」を用いた環境改善が必要です。
本記事では、ヒュームが持つリスクや現場の作業形態に合わせた排気装置の種類について解説します。
はんだ付けにおいて起こりうる問題として、合金の加熱時に発生するヒュームが挙げられます。鉛入りはんだに含まれる鉛酸化物や、はんだ付け促進剤(フラックス)由来のホルムアルデヒドなどの刺激性物質を吸入すると、頭痛や咳、喘息といった健康被害を引き起こすリスクがあります。また、鉛は皮膚や呼吸器から体内に蓄積され、慢性的な鉛中毒の症状として疲労感や手足のしびれなどを招くため注意が必要です。
有鉛はんだを扱う場合には、鉛中毒予防規則などの法令遵守を怠ってはなりません。さらに、厚生労働省の資料によると、リスクが高い物質を扱う際には、全体換気よりも局所排気やプッシュプル換気が推奨されています(※)。適切な排気および換気システムを整えましょう。
※参照元:厚生労働省/【PDF】職場のあんぜんサイト(https://anzeninfo.mhlw.go.jp/user/anzen/kag/pdf/taisaku/common_Ventilating.pdf)
排気対策を行う際は、現場の作業形態に応じたアプローチを選ぶ必要があります。化学物質のリスクと費用対効果のバランスを考慮して決定し、ヒュームの発生源(発散源)の形や大きさに適合したフードを選択することが求められます。
作業者が手元で細かな基板実装や電子工作を行う環境では、発生源の近くから吸引する「局所排気装置」の導入が有効です。有害物質が周囲に拡散する前に捕集し、ダクトを通じて屋外へ排出する仕組みを持っています。
手元作業においては、フードの吸い込み口(開口面)の外にある発散源の周囲に吸込み気流をつくって吸引する「外付け式フード」などが選択肢となります。ただし、まわりの乱れ気流の影響を受けやすい性質があるため、フードを発散源に近づけて設置するなどの工夫を施さなければなりません。作業は吸い込み口の近くで行う必要があります。
自動実装ラインなど一定の範囲での対策が必要な場合、吹出し用と吸込み用のフードを向き合わせて設置する「プッシュプル型換気装置」の導入が効果的です。
この装置は、吹出しフードから緩やかな気流を出すことで有害物質を吸い込みフードまで運ぶ仕組みです。気流が緩やかな流れでコントロールされるため、発散源から出る有害物質をかき混ぜることなく換気できます。周囲まで汚染される危険を抑えつつ、作業性を損なうことが少ないという特徴を備えています。
現場に排気設備を導入して効果を得るためには、構造や性能の要件を満たす設計が欠かせません。たとえば、プッシュプル型換気装置などでは法令に基づく制御風速(※0.2m/s以上など)を確保することが義務付けられています。
また、ダクト配管を通じて屋外へ排出する構造要件を満たす必要があります。局所排気装置の外付け式フードなどはエアコンの風といった外乱気流の影響を受けやすいため、室内の気流の乱れを避ける配置や設計を考慮しましょう。
※参照元:厚生労働省/【PDF】性能要件(捕捉面における風速)(https://www.mhlw.go.jp/content/11300000/001240051.pdf)
はんだ付け現場におけるヒューム対策には、屋外排気を伴う設備設計が求められます。自社の作業環境や法規制に適合した排気設備の構築については、専門的な知見と実績を持つ業者へ相談するとよいでしょう。
それぞれ排気装置の設置場所が違えば、機器の導入の際に検討するべきポイントも変わってきます。ここでは「製造現場」「研究現場」「塗装現場」それぞれの設置場所に合わせて、排気装置メーカー3社をご紹介します。
導入を考えている場所と排気装置の特徴を見比べて、自社に合った排気装置選びの参考になさってください。