排気装置のダンパーは、排気量の調節や逆流の防止などの役割を担う重要な装置です。そこで本記事では、排気装置のダンパーの概要や選び方のポイントについて解説します。
排気装置のダンパーは、排気量の調節や逆流の防止などを行う目的で取り付けられている装置です。空気流量制御弁(エアフローコントロールバルブ)としても知られています。
火災や地震などの緊急事態が発生した際は、ダンパーを強制的に閉じることにより排気装置を停止できます。そのため防火・防災用の安全装置として、ダンパーが取り付けられる場合もあります。
ダンパーには、風量調整ダンパーやファイヤーダンパー、防炎ダンパーなどの種類があります。用途に合わせて、適切なタイプを選ぶことが重要です。
風量調整ダンパーは、手動のハンドルで羽根を動かすと、内部を流れる空気の量を調整できます。シンプルな構造ですが、手動による操作が必要になるため設定を頻繁に変えない場所に適しています。精密な制御が必要な場合は、電動ダンパーが向いています。
ファイヤーダンパーや防煙ダンパーは、火災時の延焼防止や煙の拡散防止を目的として設置されます。
ダンパーのダクト内部には、ブレードと呼ばれる羽根が設置されています。ブレードを回転させたり、スライドさせたりすることによって、排気量を調整する仕組みです。
防火目的のファイヤーダンパーには、火災時にダクトを伝わって火が燃え広がってしまうのを防ぐ役割があります。ダクト内の空気が高温になった場合に、温度ヒューズが溶解してブレードが自動的に閉鎖され、空気の流れを遮断します。
また防炎ダンパーは、熱だけではなく煙も感知して作動する仕組みです。ファイヤーダンパーよりも防火対策を強化したい場合に向いています。
排気される空気の温度や成分に応じて、適切な材質・サイズのダンパーを選定する必要があります。空気の温度や腐食性ガスの有無によって、適した材質が変わります。特に、防火目的で設置する場合は火災に耐えられる材質でなければなりません。
またダンパーのサイズは、ダクトの寸法に合わせることが基本です。間違えないように、施工現場の調査が必要です。
圧力損失とは、空気の流れに対する抵抗によって発生する圧力の低下を指します。圧力損失が大きくなると必要な動力が増えることから、排気装置の運転コストが上昇してしまいます。排気装置の導入前に、圧力損失の大きさを計算しておくことが重要です。
局所排気装置の圧力損失の詳細については、以下の記事で詳しく解説していますので併せてご覧ください。
ダンパーを選ぶ際に注目したいのが、防食性能や耐摩耗性能、耐圧性能、気密性能などです。防食性能に問題があると、腐食による劣化が発生してしまう恐れがあります。
またダンパーの主要構成部品(軸・軸受・ブレード・連結部)における摩耗を最小限に抑えるには、耐摩耗性能や耐圧性能が高いことも重要です。
なお気密性能については、必ずしも優れている必要はありません。一般的に高気密タイプのほうが高価ですので、用途や目的に応じて気密性能の程度を検討してください。
排気装置のダンパーは排気量の調節や逆流防止、さらには防火・防炎など、さまざまな用途で活用されます。使用環境や目的に応じて、材質・寸法・圧力損失・性能面を十分に考慮し排気装置に適したダンパーを選びましょう。
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それぞれ排気装置の設置場所が違えば、機器の導入の際に検討するべきポイントも変わってきます。ここでは「製造現場」「研究現場」「塗装現場」それぞれの設置場所に合わせて、排気装置メーカー3社をご紹介します。
導入を考えている場所と排気装置の特徴を見比べて、自社に合った排気装置選びの参考になさってください。