本記事では、室内の空気を清浄化する負圧集塵機の用途・仕組み・導入のポイントについて解説します。
負圧集塵機は、空気中の粉じんや有害物質を吸引し、複数のフィルターで除去してきれいな空気を排出する装置です。集塵機周辺で局所的に負圧を作ることで、汚染空気が外部へ漏れるのを防ぎ、効率的に有害物質を捕集できるようになります。
一例として、ダイオキシン・アスベスト・鉛のような物質は健康被害を生じるおそれがある有害物質です。これらが空気中に含まれる場合、負圧の状態にすることで効率的に捕集できます。
空気には、気圧が高い場所から低い場所へと流れる性質があります。負圧集塵機は、まさにこの空気の性質を利用して、室内の空気をきれいにしています。
まず、集塵機が内部のファンで作業場の空気を強制的に吸い出します。すると、室内の気圧が外の気圧よりも低くなり、「負圧」と呼ばれる状態が作られます。このように室内が負圧になると、空気は自然には外へ漏れ出しにくくなります。その結果、作業現場で発生した粉じんや有害物質を含む汚染された空気が、ドアの隙間などから外部へ拡散するのを防ぎ、効率的に集塵機へと吸い込ませることができるのです。
そして、集塵機に吸い込まれた空気は、内部に設置されたフィルターを通過する際に浄化されます。このフィルターによって、まず比較的大きな粒子が取り除かれ、さらに高性能なフィルター(HEPAフィルターなど)を用いることで、ウイルスや細菌といった微細な粒子まで段階的に捕集し、きれいになった空気だけを排出する仕組みになっています。
一般的な集塵機は、発生した粉塵を回収・処理しやすいようにタンクや袋に集める構造になっています。これに対し、負圧集塵機の目的は、作業空間の空気を清浄化し、特に有害物質が外部へ漏れ出すのを防ぐことにあります。そのため、回収した物質を溜めるタンクや袋を持たない場合が多く、高性能フィルターで有害物質を直接捕捉し、フィルターごと安全に処理する方式が一般的です。
また、建物全体の換気を行う大規模な設備とは異なり、負圧集塵機は特定の作業エリアを局所的に負圧状態に保ちながら空気を浄化することに適しています。こうした特徴から、現場への持ち運びや移動がしやすいよう、コンパクトで軽量なタイプとなっており、作業場所が頻繁に変わるような場合には、この可搬性の高さが大きな利点となります。
設置場所に応じて、サイズや重量を選定することが大切です。作業環境が変わる場合は持ち運びできるタイプが適しています。
一度に処理する粉じん・有害物質の量が多い場所では、大容量の集塵機を設置すれば、粉じんや有害物質の処理が効率的に進むでしょう。
フィルターは、捕集する物質の種類に応じて選定しましょう。1次フィルター・2次フィルター・HEPAフィルターの3層で構成されるものもあります。
HEPAフィルターは、0.3μmの粒子を99.97%以上の捕集率で除去でき、通常のフィルターでは通過するような微粒子も、繊維にぶつけて物理的に除去します。
集塵機の性能を比較するうえで、風量の計算も重要な要素です。空気の吸い込み口の開口面積・吸い込むものの種類を考え、風速を定めて風量を計算します。
風量だけではなくフィルターの面積も考慮しなければなりません。一般的に、フィルター面積が風量の50%以上であれば、フィルターに負担をかけにくくなると考えられています。
負圧集塵機は、作業場所の空気から粉じんや有害物質を取り除いて、清浄な空気を排出する装置として利用されます。
サイズや重量、性能は製品ごとに異なりますが、室内を負圧に保つことで空気が外へ漏れにくくなるという仕組みは、どの製品にも共通しています。装置ごとの特徴や性能を比較して、作業環境に合った製品を検討することが重要です。
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