学生や研究者を実験の有害物質から守る排気装置。しかし、大学の古い校舎や個人の研究室では「設置スペースがない」「ダクト工事の予算が取れない」という壁に直面しがちです。
本記事では、限られた環境でも安全性を確保できる、省スペースや工事不要な排気装置の種類と選び方を解説します。
実験で発生する有害なガスや蒸気を屋外へ排出する排気装置は、学生や研究者の健康障害を防止するために不可欠な設備です。一方で、従来型のドラフトチャンバーは本体サイズが大きく、大掛かりな排気ダクト工事を伴う傾向にあります。数百万円規模の費用や広大な設置スペースが求められるため、予算や環境の都合で導入のハードルが高いと感じる方もいるでしょう。
大規模な配管工事や広いスペースの確保が難しい大学の実験室においても、導入を検討できる排気装置は存在します。床置きの従来型だけでなく、用途や設置環境に応じた4つの種類について解説していきます。
建物の外へ有害物質を排出する従来型の排気装置です。安定した排気能力を備えており、多種多様な薬品を扱う実験環境に向いています。ただし、装置本体を置くための十分なスペースが必要になるうえ、屋外へ繋がるダクト配管工事が必須となります。そのため、導入コストや建物の構造上の制約を受けやすい点には注意が必要です。
屋外への排気ダクトを必要とせず、手軽に導入しやすいのがダクトレスフードです。吸い込んだ空気を内部のフィルターで処理し、再び室内に戻す構造になっています。排気設備の設置費用を抑えられる反面、使用できる薬品の種類や処理できる量には制限が伴います。扱う物質に適合するフィルターの選定と、定期的な交換作業が欠かせません。
既存の作業台や実験台の上にそのまま設置できる、コンパクトな排気装置です。大規模な設備を置く余裕がない、手狭な個人研究室などの環境に適しています。室内の空気を循環させる室内排気型であれば大掛かりな配管工事をせずに済みます。さらに、オプションの専用キャスター付き移動台を取り付けることで、状況に合わせたレイアウト変更も可能です。
講義室と実験室を兼ねている場合、大型の排気装置は学生の視界を遮る原因になります。アーム式のフレキシブルフードであれば、実験中は発生源に近づけて局所的に排気し、使わない時はアームを折り畳んで収納可能です。講義中の見通しを妨げないため、ドラフトチャンバーを用いるほどではない、危険性の低い実験を行う用途で役立ちます。
ダクトレスフードや卓上型などの室内排気型を導入する際は、取り扱うガスや薬品の種類に対応した適切な高性能フィルター(活性炭など)を選ぶことが必須です。
また、労働安全衛生法上の規制対象となる化学物質を使用する場合、特例である『発散防止抑制措置』として所轄の労働基準監督署へ申請し、個別の事案ごとに定められた許可基準を満たす必要があります。導入にあたっては、実際の実験内容に適した仕様であるか、関連する法規制や学内の安全管理規定も踏まえて総合的に確認することが重要です。
設置スペースが限られていたり、ダクト工事の予算が取れない実験室であっても、ダクトレスフードや卓上型、アーム式を選ぶことで安全に配慮した作業環境を構築できます。機器の選定や法規制への対応については専門的な判断が求められるため、導入実績を持つメーカーへ直接相談することをおすすめします。
それぞれ排気装置の設置場所が違えば、機器の導入の際に検討するべきポイントも変わってきます。ここでは「製造現場」「研究現場」「塗装現場」それぞれの設置場所に合わせて、排気装置メーカー3社をご紹介します。
導入を考えている場所と排気装置の特徴を見比べて、自社に合った排気装置選びの参考になさってください。