ここでは、慣性力の集塵機について、仕組みや用途・製品事例を紹介します。
慣性力集塵機とは、装置の内部で気流の向きを意図的に変えて粒子に慣性の力を与え、空気中から分離させて粒子を捕集する集塵機です。
慣性とは、他からの力を受けないかぎり現在の運動状態が変化しない性質のことです。装置内部で粒子を含む気流を直進させると、粒子にも直進の力がかかります。
粒子はそれ自体が質量をもつため、気流の向きが変わっても直進しようと慣性力によって運動を続けます。この性質によって空気中の粒子が分離され、集塵機の内部に蓄積する仕組みです。
慣性力集塵機の仕組みとしては、集塵機内に設置した板にガスを衝突させて分離させる方式と、ガス流を方向転換させて粒子だけを分離する方式に分けられます。
慣性力は質量に比例し、大きな粒径ほど慣性効果が大きくなり捕集効率が高まります。一方で、小さな粒子が再飛散するリスクもあるため、慣性力集塵機のみではすべての粒径の粒子を捕集できません。
慣性力集塵機は、粒径が大きな粒子の捕集に適していますが、小さな粒子については再飛散のリスクがあり不得手とされています。
そのため、工場などの現場では「プレダスター」として、粗粒子の分級用として用いられるか、排ガス等に含まれる液滴分離や集塵機の前処理に使われるケースが一般的です。
前処理に使われる場合は、慣性力集塵機とその他の高性能な集塵機を組み合わせるなどして、空気中に含まれる粒子やその他の物質の特性に合わせた集塵方法が採用されます。
慣性衝突捕集装置「WPセパレーター」は、曲板を一定の間隔に並べた構造の慣性力集塵機です。
23μm以上のオイルミストを含む粗粒子が板の間を通過すると、オイルミストが付着して粒子ごと分離・捕集します。コンパクトなボディのため圧損が少なく、目詰まりのない曲板構造が特長です。
ダクトと接続するためのフランジがケーシングの前後に設けられており、ダクトラインのどの部分にも設置できます。大型化することで、大風量の処理への対応が可能です。
参照元:サンテクノ株式会社(https://www.suntechno-inc.co.jp/benefit/wp.html )
サイクロン効率を高める再循環システムの特許を取得した、慣性力集塵機です。
遠心力によって、再循環器の外に飛散した未補修の粒子をサイクロンの中に再導入できる構造で、大きな粒子のほかに小さな粒子も凝集でき、最少5,000㎥/h、最大500,000㎥/hの流量が確保できます。
参照元:Virtual EXPO(https://www.directindustry.com/ja/prod/advanced-cyclone-systems-acs/product-63975-420908.html)
慣性力集塵機は、慣性の力によって粒子を捕集する集塵機です。
自然の力に任せて空気中の粒子を捕集できますが、大きな粒子ほど慣性が働くことから、小さな粒子が空気中に飛散してしまうデメリットも考慮しなければなりません。
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