排気装置を導入するにあたり押さえておきたいのが制御風速です。ここでは、制御風速の概要を解説するとともに求められる制御風速を有害物の種類・フードの種類別に紹介しています。
制御風速は、有害物の拡散を防ぐために必要とされる局所排気装置の風の速さです。求められる風速は、有機溶剤中毒予防規則などに定められています。具体的な数値は、有害物や排気装置のフード形状などで異なります。例えば、特定化学物質は、ガス状と粒子状で別の制御風速が定められています。ちなみに、ガス状の制御風速は毎秒0.5m以上、粒子状の制御風速は毎秒1.0m以上です。
制御風速は、作業者を有害物から守るため設けられています。一定の風の速さを実現できないと、作業者が有害物に暴露する恐れがあります。暴露を防ぐポイントは、作業者が呼吸をしている場所の周辺に排気装置(フード)へ向かう空気の流れをつくる、排気装置(フード)から有害物が漏れ出さないように空気の流れを作ることといえるでしょう。どれくらいの制御風速が求められるのでしょうか。
前述の通り、制御風速は有害物や排気装置のフード形状で異なります。囲い式フード(有害物の発生源をフードで囲っている局所排気装置)における有機溶剤の制御風速は毎秒0.4m以上です。粉塵の制御風速は毎秒0.7~1.0m以上となっています。囲い式フードの測定位置はフードの開口部です。
具体的には、開口部を1辺30~50cmの正方形に分割して、それぞれの中央で測定(2カ所以上)します(具体的な測定方法は個別の確認が必要)。一般的に、囲い式フードは外乱気流の影響を受けにくいとされていますが、それでも影響には注意が必要です。作業中に異臭がする場合や作業場に粉塵が溜っている場合などは、制御風速を満たせていない恐れがあります。早急に点検が必要といえるでしょう。
外付けフード(有害物の発生源の周囲に設けられた局所排気装置)における制御風速は吸い込み気流の向きで異なります。外付けフードは、吸い込み気流の向きにより下方吸引型・側方吸引型・上方吸引型にわかれます。
有機溶剤の制御風速は、下方吸引型が毎秒0.5m以上、側方吸引型が毎秒0.5m以上、上方吸引型が毎秒1.0m以上です。粉塵の制御風速は、下方吸引型が毎秒1.0~1.3m以上、側方吸引型が毎秒1.0~1.3m以上、上方吸引型が毎秒1.2m以上となっています。外付けフードの測定位置は、有害物が飛散する最も遠い位置です(2カ所以上測定。具体的な測定方法は個別の確認が必要)。外付けフードは周りの空気と一緒に有害物を吸い込むため、大きな排気量を必要とします。
また、囲い式フードと比べて、気流の影響を受けやすいといえるでしょう。導入時や点検時などに、しっかりと管理する必要があります。
それぞれ排気装置の設置場所が違えば、機器の導入の際に検討するべきポイントも変わってきます。ここでは「製造現場」「研究現場」「塗装現場」それぞれの設置場所に合わせて、排気装置メーカー3社をご紹介します。
導入を考えている場所と排気装置の特徴を見比べて、自社に合った排気装置選びの参考になさってください。